“中根(なかね)” の例文
「貴樣達(きさまたち)はあの時(とき)の中根(なかね)の行爲(かうゐ)を笑(わら)つたかも知(し)れん。然(しか)し、中根(なかね)は正(まさ)しく軍人(ぐんじん)の、歩兵(ほへい)の本分(ほんぶん)を守(まも)つたものだ。豪(えら)い、豪(えら)い‥‥」
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
婆「今日は中根(なかね)はんが来て居るので、いゝえさ、どうも中根はんと深くなって居て、中根はんが上役だから下役の足軽みたいな人の所へは行かないのだよ」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
『鹿狩(しかが)りに連れて行(い)こうか』と中根(なかね)の叔父(おじ)が突然(だしぬけ)に言ったので僕はまごついた。『おもしろいぞ、連れて行こうか、』人のいい叔父はにこにこしながら勧めた。
鹿狩り (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
帰朝当座の先生は矢来町(やらいちょう)の奥さんの実家中根(なかね)氏邸に仮寓(かぐう)していた。自分のたずねた時は大きな木箱に書物のいっぱいつまった荷が着いて、土屋(つちや)君という人がそれをあけて本を取り出していた。
夏目漱石先生の追憶 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
が、中根(なかね)は營庭(えいてい)に輝(かがや)く眞晝(まひる)の太陽(たいやう)を眩(まぶ)しさうに、相變(あひかは)らず平(ひら)べつたい、愚鈍(ぐどん)な顏(かほ)を軍曹(ぐんそう)の方(はう)に差(さ)し向(む)けながらにやにや笑(わら)ひを續(つづ)けてゐた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
が、暫(しばら)くすると中根(なかね)の話(はなし)にも倦(あ)きが來(き)た。そして、三十分(ぷん)も經(た)たない内(うち)にまた兵士達(へいしたち)の歩調(ほてう)は亂(みだ)れて來(き)た。ゐ眠(ねむ)りが始(はじ)まつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)