三声みこえ)” の例文
旧字:三聲
それが三声みこえめになると、泣くような、怨むような、呻吟うめくような、くるしもがくかと思う意味があきらかにこもって来て、あたらしくまた耳をつんざく……
霰ふる (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そのときもうそろそろしらみかかってきた大空おおぞらの上を、ほととぎすが二声ふたこえ三声みこえいてとおって行きました。大臣だいじんいて
(新字新仮名) / 楠山正雄(著)
二声ふたこえ三声みこえ呼んでみたが、グウ/″\といびき途断とぎれませんから、そっと襟の間へ細引を挟み、また此方こちらあやに取って、お賤は新吉に眼くばせをするから、新吉ももう仕方がないと度胸をえて
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
御厨子を据えて、さてどこへ置直そうと四辺あたりた時、蚊帳の中で、三声みこえばかり、いたく明がうなされた。が……此方こなたの胸が痛んだばかりで、揺起すまでもなく、さいわいにまたしずかになった。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その苦しい中で伊之助さんのたね赤子ねゝっこを産んだが、そういう中で産れた赤子だから育つわけはねえから、二声ふたこえ三声みこえ泣いて直ぐにおッんでしまった、それを見ると若草は血があがっておッ死んだから
二声ふたこえ三声みこえ泣入ったのが此の世のなごり。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)