一處ひとところ)” の例文
新字:一処
木屑きくづきはめてこまかく、きはめてかるく、材木ざいもく一處ひとところからくやうになつて、かたにもむねにもひざうへにもりかゝる。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
すると、不圖手にしてゐる夕刊の或一處ひとところに停まつた儘、私の眼は動かなくなつた。
所謂今度の事:林中の鳥 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
ちやう小脇こわきひきそばめてげつゝ、高々たか/″\仰向あふむいた、さみしいおほきあたまばかり、屋根やねのぞ來日くるひヶ峰みね一處ひとところくろいて、影法師かげぼふしまへおとして、たからかにふえらした。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
はやゝけた。はなれの十疊じふでふ奧座敷おくざしきは、圓山川まるやまがは一處ひとところりたほど、森閑しんかんとものさびしい。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)