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一處
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ひとところ
木屑は
極めて
細かく、
極めて
輕く、
材木の
一處から
湧くやうになつて、
肩にも
胸にも
膝の
上にも
降りかゝる。
すると、不圖手にしてゐる夕刊の或
一處に停まつた儘、私の眼は動かなくなつた。
丁と
小脇に
引そばめて
上げつゝ、
高々と
仰向いた、さみしい
大な
頭ばかり、
屋根を
覗く
來日ヶ峰の
一處を
黒く
抽いて、
影法師を
前に
落して、
高らかに
笛を
鳴らした。
夜はやゝ
更けた。はなれの
十疊の
奧座敷は、
圓山川の
洲の
一處を
借りたほど、
森閑ともの
寂しい。