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一處
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とも
甚之助かぎりなく
口惜しがり、
先づ
父君に
歎き
母君を
責め、
長幼の
令孃に
當りあるきて、
中姉樣を
窘め
出すことヽ
恨らみ、
僕をも
一處にやれと
迫まり、
令孃に
對へば
譯もなく
甘へて
鎌倉へ
行かばお
歸りの
無きに
極まりたれば、
殘りて
淋しからんより
我れも
一處にゆき、
我れも
此邸に
歸るまじ、
父樣も
嫌や
母樣も
嫌や、
誰れを
捨てヽも
諸共に
行かんと
計り、
令孃は
靜かに
諭して