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一瞬
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いっとき
ふりがな文庫
“
一瞬
(
いっとき
)” の例文
といっても、男によって体に与えられた“うつつの
喪失
(
そうしつ
)
”は逆に彼女を
一瞬
(
いっとき
)
のまにべつな女として生れかわらせていたともいえよう。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まったく彼の影は、
一瞬
(
いっとき
)
の間に細く見えた。——つくづく奉公人の器でない事を、今更、自分で知って
臍
(
ほぞ
)
を噛むのだった。
濞かみ浪人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
肝臓からにじみ出る不快な
苦汁
(
くじゅう
)
に、内臓の諸機能も
揉
(
も
)
めるような動悸をきざみ、
一瞬
(
いっとき
)
、それが実にいやな顔いろになって、彼の
面
(
おもて
)
を通りすぎた。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
誰も皆、ひとつ憂いに
囚
(
とら
)
われて、
一瞬
(
いっとき
)
ほどは、眉にも
睫毛
(
まつげ
)
にも、
兜
(
かぶと
)
の緒にも
鞍
(
くら
)
つぼにも、雪の降り積るにまかせたまま、駒首寄せて声もなかった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
たとえば、下も見ずに絶壁をよじ上って、いただきの岩角にとりすがると同時に、満身の精気も
一瞬
(
いっとき
)
にどこかへすうと脱け去ってしまったような。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
一瞬
(
いっとき
)
、彼の真実なことばに打たれた者達は、酒の酔いもどこへやら、声をのんで、藤吉郎の
面
(
おもて
)
を見まもり合っていた。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
弾木魂
(
たまこだま
)
に、
一瞬
(
いっとき
)
、耳がガーンとすると、もう兵の
胆気
(
たんき
)
はすわっていた。——しかし、気がついてみると、その隊だけ、本隊から置き捨てられていた。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大杯を
強
(
し
)
いられ、飲まぬか、なぜ飲まぬ、
強
(
た
)
って飲めなどと——
一瞬
(
いっとき
)
ではあったが、
険
(
けわ
)
しいお模様があったそうな。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
石井山の御本陣を始め、敵も味方も、
一瞬
(
いっとき
)
、
小波
(
さざなみ
)
も立たぬほどひそまり返って、泥水の大湖の中に、
閃
(
ひら
)
—閃—と舞いうごく波の扇を見まもっていたのである。
茶漬三略
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ときならぬ春雷は、
一瞬
(
いっとき
)
、地を
震
(
ふる
)
わせ、人々の
胆
(
きも
)
をおどろかせたが、
落花微塵
(
らっかみじん
)
な威も見ぬまに、花の道中を、次の日はもううららかに、水戸へさして帰っていた。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「——この
日
(
ひ
)
の
本
(
もと
)
に生れたありがたさもわからねば、この国土に報じて、
一瞬
(
いっとき
)
のいのちを、無窮に生かそうとする——長命の法も、さとらぬ
憐
(
あわ
)
れなもの、
不愍
(
ふびん
)
な
者
(
もの
)
……」
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
世の中とはかくも
不測
(
ふそく
)
なものなのか。
一瞬
(
いっとき
)
は驚く心すら
痺
(
しび
)
れて、涙も出なければ、声も出ない。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
このときは、ただこれだけで帰って来たので、二人には、尊氏が何でそのような冗談をいったのか、またひどく機嫌のいい
一瞬
(
いっとき
)
を顔に見せたのか、主君の心は
酌
(
く
)
めなかった。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
屋根の一端が
暴風雨
(
あらし
)
にさらわれてしまったものと見えて、白い雨水が、ぶちまけるように
梁
(
はり
)
から落ちているのである。もちろん、
灯
(
あか
)
りは努力しても
一瞬
(
いっとき
)
も持っていなかった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
余りに動流の激しい、そして血なまぐさい世の中なので、その半面の「静」を求め、血ぐさい
一瞬
(
いっとき
)
を離れて、
寂
(
じゃく
)
の中に、息をつこうという人々の声なき求めといえるであろう。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いや、敵は二万、味方は五百余人、かかったところで、ほんの
一瞬
(
いっとき
)
、ここの
川面
(
かわも
)
を、赤く染めてしまうだけだ。討死は、覚悟だが、その死を、できるだけ有効にして死なねばならぬ」
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あわただしい時勢の変相が、
一瞬
(
いっとき
)
、若い学生たちの心を通りすぎた。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ぞっと、
身慄
(
みぶる
)
いを覚えた時、わしは
一瞬
(
いっとき
)
に世の中が
厭
(
いや
)
になった。所詮、この世というものは、学識ある者も、教養のない者も、食える者も、食えない者も、一様に皆つづまるところ
餓鬼
(
がき
)
の寄合いか。
茶漬三略
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただ朧な中の本能の狂いを、
一瞬
(
いっとき
)
、梅が散り騒いだだけであった。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一瞬
(
いっとき
)
みな、厳粛に、かれの喰うまんじゅうの味を思いやっていた。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“一瞬”の解説
「一瞬」(いっしゅん)は、1998年11月6日にポニーキャニオンから発売された、工藤静香の通算33枚目となるシングル。
(出典:Wikipedia)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
瞬
常用漢字
中学
部首:⽬
18画
“一瞬”で始まる語句
一瞬時
一瞬間