一命いちめい)” の例文
「そうですねえ。要するに、斥候隊で、敵の作戦を見破ったり、場合によれば、一命いちめいを投げだして、敵中へ斬り込みもするですよ」
鬼仏洞事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それがしおも御役目おやくめかうむさふらふうへ一命いちめいかけものにしてなににてもこゝろのまゝにいたしたくさふらふ
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかし天性弱きを助け強きをひしぐの資性に富み、善人と見れば身代しんだいは申すに及ばず、一命いちめいなげうってもこれを助け、また悪人と認むればいさゝか容赦なく飛蒐とびかゝって殴り殺すという七人力にんりき侠客きょうかくでございます。
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
覺束おぼつかなし、わらは夜叉神やしやじん一命いちめいさゝげて、桃太郎も〻たらう
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
さてこそ、やむなくそこへ逃げこんで一命いちめいをもちこたえたのはいいが、後になってくしゃみの連発に気をくさらす者も出来てくる始末であった。
たゞ一命いちめいさゝぐることをこそ天地てんちちかさふら
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
彼女の繊細せんさいなる手首が紐でこすられて血が出、それが紐の切れ端に残ったことは確かだ。こうして彼女は、遂に敗れて一命いちめいを失ったものらしい。
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
患者がらずに三十分以上もあのラジウムを肛門に入れて置くと、ラジウムのために肛門のへんがとりかえしのつかぬ程腐ってついには一命いちめいかかわるだろうなどと心配した。
柿色の紙風船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「それはさっききみが掘りあてたとおり、第二研究室のゆかの下には、外へのがれる道がこしらえてあったので、いそいでそれへとびこんで、一命いちめいをまっとうしたのです」
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
あやう一命いちめい
大空魔艦 (新字新仮名) / 海野十三(著)