〆切しめきり)” の例文
下女の中にて三郎兵衞を少しうたがふ者ありしが夫は證據なき事とて是非なく今年ことし厄落やくおとしと斷念あきらめ帳面を〆切しめきりしが是を不幸けちの始として只一人の娘にむこえらあと
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さてくだんの花簪屋と煎餅屋との間の露地口の木戸は、おしめ、古下駄等、汚物よごれもの洗うべからずの総井戸と一般、差配様おおやさん取極とりきめで、紙屑拾不可入かみくずひろいいるべからず、午後十時堅く〆切しめきり
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その秋大阪に住んでいるある作家に随筆をたのむと、〆切しめきりの日に速達が来て、原稿げんこうは淀の競馬の初日に競馬場へ持って行くから、原稿料を持って淀まで来てくれという。
競馬 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
先日は御手紙有難ありがとう。又、電報もいただいた。原稿は、どういうことにしますか。君の気がむいたようにするのが、一番いいと思う。〆切しめきりは二十五、六日頃までは待てるのです。
虚構の春 (新字新仮名) / 太宰治(著)
もう少しゆっくり考えてかく暇があったらもう少し面白い昔話が思い出せるかもしれないが、原稿〆切しめきりという日曜日の朝のしかも出かけ前に書くのであるから遺憾ながらこれだけである。
高浜さんと私 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
長二は其の頃両親ともなくなりましたので、煮焚にたきをさせる雇婆やといばあさんを置いて、独身で本所〆切しめきり世帯しょたいを持って居りましたが、何ういうものですか弟子を置きませんから、下働きをする者に困り
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
〆切しめきり町内の自身番屋には鳶の者火事裝束にて相詰あひつめたり程なく惣人數そうにんずは數寄屋橋御門へ來しに見附は常よりも警固かための人數多く既に天一坊の同勢どうぜい見附みつけ這入はひれば門を〆切しめきりそれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
梓が大学の業をえて、仏文の手紙の姫、年紀としは二ツ上の竜子に迎えられて、子爵の家をぐ頃には、地主の交替か、家主の都合か、かの隠家の木戸は釘附くぎづけ〆切しめきりとなって
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「今月末が〆切しめきりなのです。いそがしいのです。」
断崖の錯覚 (新字新仮名) / 太宰治黒木舜平(著)
相※に外廓の見附は何も〆切しめきりたり斯て越前守の役宅へ近付ければ只今たゞいま天一坊樣いらせられたり開門せよと呼れば此日は池田いけだ大助門番を勤め何天一坊がまゐりしとや天一坊は越前守が吟味を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)