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をに
野川で
鰌を
突くのであらう。
何処かで、かんてらの
火が
一つ、ぽつと
小さく
赤かつた。
火は
水に
影を
重ねたが、
八重撫子の
風情はない。……一つ
家の
鬼が
通るらしい。
馬鹿野郎呼はりは
太吉をかこつけに
我れへの
當こすり、
子に
向つて
父親の
讒訴をいふ
女房氣質を
誰れが
教へた、お
力が
鬼なら
手前は
魔王、
商買人のだましは
知れて
居れど
くやしさに
鬼のやうな
顏がいよいよ
鬼のやうに
醜く、まつ
赤になりました。ぶるぶると
身震ひしながら「うむむ、うむむ」と
何か
言はうとしても
言へないで
悶えてゐました。