“みせさき”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
店頭56.0%
店前22.9%
店先17.1%
見世先2.3%
居先0.6%
店端0.6%
肆前0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
金縁の目金めがねを掛けたる五ツ紋の年少わか紳士、襟を正しゅうして第三区の店頭みせさきに立ちて、肱座ひじつきに眼を着くれば、照子すかさず嬌態しなをして
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ちょいとどうぞと店前みせさきから声を懸けられたので、荒物屋のばばは急いで蚊帳をまくって、店へ出て、一枚着物を着換えたお雪を見た。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
若いころの自分には親代々おやだい/\薄暗うすぐらい質屋の店先みせさきすわつてうらゝかな春の日をよそに働きくらすのが、いかにつらくいかになさけなかつたであらう。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
年の暮に間もない左右の見世先みせさきに、幕だの楽隊だの、蓄音機だのを飾るやらそなえるやらして、電灯以外の景気をけて、不時の客を呼び寄せる混雑も勘定かんじょうに入れなければなるまい。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
うさなア、どうもこれはおめいとことっさまという人は中々道楽をぶって、他人ひとのいう事アかねえ人だよ、此のめえ荷い馬へ打積ぶっつんで、おめえとこ居先みせさきで話をしていると
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
何でも直ぐに買って帰って、孫が喜ぶ顔を見たさに、思案に余って、店端みせさきに腰を掛けて、時雨しぐれ白髪しらがを濡らしていると、其処そこの亭主が、それでは婆さんこうしなよ。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
極々ごくごく愚鈍の富者は小間物屋の肆前みせさきに立って、ああ悲しいかな、今は吾が買うき何物をも新に見出し得ざるに至ったと嘆じて、何か買いたい物の有った時の幸福さを味わうと同時に
貧富幸不幸 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)