“ほらあな”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
洞穴83.5%
洞窟9.4%
空洞2.2%
1.4%
海洞1.4%
0.7%
洞空0.7%
窟穴0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
乾符けんぷ年中の事、天台の僧が台山たいざんの東、臨海りんかい県のさかいに一つの洞穴ほらあなを発見したので、同志の僧と二人連れで、その奥を探りにはいった。
なかで一ばんおおきな彼方むこう巌山いわやますそに、ひとつの洞窟ほらあならしいものがあり、これにあたらしい注連縄しめなわりめぐらしてあるのでした。
私の生命いのちたるのやうに冷たい空洞ほらあなを流れてゆく
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
小稻こいなといふ處を通つた時、海から舟で通ふほらあながあつた。こゝへ見物に來た男が、細君だけ置いて、五百圓懷中ふところに入れたまゝ舟から落ちたといふ。是は往きに聞いた話だ。
伊豆の旅 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
海洞ほらあなに潮がさしこんでくるような異様におぼろな声で、はっきりと三度までくりかえした。
流れにヤマメがゐるとすると、イワナは流れの上の滝か、山と山のほらあなの水にゐる。そして竿と糸と鈎さへあれば、土蜘蛛でも、いなごでも、蝶々でも何でも挿してやればとびつく。
夏と魚 (新字旧仮名) / 佐藤惣之助(著)
燈火は一しきり明るくなって空部屋あきべや洞空ほらあなを照したが、パチパチと幾声いくこえか破裂したあとで、だんだん縮少して、ありたけになった残油のこりあぶらはすでに燃え尽してしまった。
白光 (新字新仮名) / 魯迅(著)
微暗うすくら窟穴ほらあなのような廊下のさき一処ひとところ扉がいていて、内から射した明るいが扉を背で押すようにして立っている者を照らしているところがあった。
港の妖婦 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)