“へいり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
弊履57.1%
敝履21.4%
幣履7.1%
屏裡3.6%
瓶裏3.6%
瓶裡3.6%
這入3.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
夜泣きの刀、乾雲丸の取り戻し方を思いとどまってくれ……というお艶のことばは、さながら弊履へいりてよとすすめるにひとしい口ぶりだ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
君臣のちぎりすら敝履へいりのごとく捨て去る人間もいる乱世に、きのうまで敵であった毛利の一誓紙が——どれほど文字どおりに約束を履行りこうするか? ——そこまでは考えても見ず
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
早く云えばこの女は、親の許さぬ或る男に身を委せ、とうとう妊娠にんしんして仕舞ったのだ。男は、幣履へいりのごとく、この女をふり捨ててしまったのだった。
恐しき通夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
吉保は、一門一族をあげてこれを迎え、歓楽つきて、秘室、伽羅きゃらきこめた屏裡へいりには、自分の妻妾でも、家中のみめよき処女でも、綱吉のとぎに供するのを否まなかったとさえいわれる。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二方は生垣いけがきで仕切ってある。四角な庭は十坪に足りない。三四郎はこの狭い囲いの中に立った池の女を見るやいなや、たちまち悟った。——花は必ずって、瓶裏へいりにながむべきものである。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
我は餘りの堪へ難さに、口に聖母マドンナ御名みなを唱へて、瓶裡へいりの薔薇一輪摘み、そを唇に押し當てつゝ心には猶アヌンチヤタが上を思へり。われは情に堪へずして、僧堂を出で、海の方へ降り行きぬ。
穏坊をんばう畜生ちくしやう此方こつち這入はいつやアがるときかねえぞ、無闇むやみ這入へいりやアがるとオンボウいて押付おつつけるぞ。と悪体あくたいをつきながら穏坊をんばうそでした掻潜かいくゞつてスーツと駈出かけだしてきました。
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)