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びやうご
長吉は
病後の
夕風を
恐れてます/\
歩みを早めたが、
然し
山谷堀から
今戸橋の
向に開ける
隅田川の
景色を見ると、どうしても
暫く
立止らずにはゐられなくなつた。
君も
御存知の
如く
病後、
赤十
字社の
醫者に
勸められて二ヶ
月間此湯原に
滯在して
居た
時である。
蛇は
暫く
凝然として
居て
極めて
徐ろに
棺臺の
下に
隱れた。
卯平の
顏は
黄昏の
光に
蒼かつた。
彼はそれから
他出することも
稀になつた。
恢復しかけた
病後の
疲勞が
夜は
粘るやうな
汗を
分泌させた。