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ひとげ
それで老母を初め細君娘、お徳までの
着変やら何かに一しきり
騒しかったのが、出て
去った
後は一時に
森となって
家内は
人気が絶たようになった。
やつと
其道の尽きる
処まで来た。
其処は自分達の今乗つて来たのとは
異ふ別の汽車
道の踏切である。そして一層
人気のない寂しい道へ自分達は出た。
重ねて
十日半月さては
廿日憂き
身につらき
卯月も
過たり
五月雨ごろのしめり
勝に
軒の
忍艸は
我が
類ひの
引きては
葺かねど
池のあやめの
根ながき
思ひにかき
暮らされて
袖にも
水かさの
増さりやすらん
此處は
別莊の
人氣も
少くなく
氣に
入りの
八重を