-
トップ
>
-
はうふ
これ
袂を
拂ふに
當りて、
其の
柔かなる
膚に
珠の
觸れて、
痕を
留めむことを
恐れてなり。
知るべし、
今の
世に
徒に
指環の
多きを
欲すると、
聊か
其の
抱負を
異にするものあることを。
事のよしをつげてお菊が
戒名をもとめ、お菊が
溺死たる
橋の
傍に髪の毛を
埋め
石塔を
建る事すべて人を
葬るが
如くし、みなあつまりてねんごろに
仏事を
営みしに
遣し
死骸は小塚原へ
捨べき
旨申渡されけれ共内々
松葉屋より
葬りけるとかや
これを
借りて死人の上を二三べんかざし、これを
引導として
私に
葬る。