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はうがく
もしかして
案内する
鳥が
方角を
間違へて、
鳥屋の
網にでもかゝらうものなら、
隨いて
行く
鳥は
何十
羽ありましても
皆同じやうにその
網へ
首を
突込んでしまひます。
そのうち
電車が
神田へ
來た。
宗助は
何時もの
通り
其所で
乘り
換えて
家の
方へ
向いて
行くのが
苦痛になつた。
彼の
神經は一
歩でも
安井の
來る
方角へ
近づくに
堪えなかつた。
冬の雪は
脆なるゆゑ人の
蹈固たる
跡をゆくはやすけれど、
往来の
旅人一
宿の夜大雪降ばふみかためたる一
条の雪道雪に
埋り
途をうしなふゆゑ、
郊原にいたりては
方位をわかちがたし。