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どく/\
二十
間にも
餘る
巨大な
建物は、
見るから
毒々しい
栗色のペンキで
塗られ、
窓は岩
疊な
鐵格子、
其でも
尚だ
氣が
濟まぬと
見えて、
其の
内側には
細い、
此も
鐵製の
網が
張詰めてある。
「いで、
此上は、
茄子の
印を
結んで
掛け、いろはにほへとと
祈るならば、などか
奇特のなかるべき、などか、ちりぬるをわかンなれ。」と
祈る
時、
傘を
半びらきにした、
中にも
毒々しい
魔形なのが
軈て
梅雨が
夥しく
且つ
毒々しい
其の
栗の
花の
腐るまではと
降り
出したので
其の
女の
穢げな
窶れた
姿は
再び
見られなかつた。