“つけぎ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
附木68.1%
付木12.8%
燭奴6.4%
発燭4.3%
付火木2.1%
漬木2.1%
燐木2.1%
附火木2.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
茶店の老爺おやじも気の毒がって、炉辺のござまでめくって見せたけれども、附木つけぎと、ごみと、耳白みみじろが三つばかりあるほかは何物もありませんでした。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
闇をたどって忍びやかに鈴鹿明神の頓宮とんぐうに入りこんだ竜之助は、とりあえず荷物をほうり出して、革袋の中から火打道具と蝋燭ろうそくと懐中付木つけぎとを探って、火をつけゆかに立てて
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その八百屋の前を通った時、お君さんの視線は何かの拍子ひょうしに、葱の山の中に立っている、竹に燭奴つけぎを挟んだふだの上へ落ちた。札には墨黒々すみくろぐろ下手へたな字で、「一束ひとたば四銭よんせん」と書いてある。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
此地火一に陰火いんくわといふ。かの如法寺村によほふじむらの陰火も微風すこしのかぜいづるに発燭つけぎの火をかざせば風気ふうきおうじてもゆる、陽火やうくわざればもえず。
湯を沸かして、これから蕎麦掻そばがきを馳走してやろうといい、七輪の欠けたようなものへ木炭すみをつぎ、付火木つけぎをくべ、火だねを作ってフウフウと火を吹きはじめる。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
濁江にごりえ漬木つけぎの陰のかきつばた 東賀
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
枯枝の先に襤褸ぼろをつけて、どっぷりと油をひたし、それを、火口から幾つも抛りこんで、ぱッと、燐木つけぎほのおを投げこんだ。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
信長がそれをり、秀吉がたばね、家康が地ならしと建築にかかりかけているが、まだ、まだ、危ないことは、附火木つけぎの火一ツで、天下を火となさんず気ぶりも蒸々むしむしと、西には満ちている。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)