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ちやくしゆ
此方も会ふのが
億劫で、いつか/\と思ひながら、今だに
着手もせずに
居ると
云ふ
始末です、
今日お話を
為るのは
些の
荒筋で、
年月などは
別して
記憶して
居らんのですから
櫻木海軍大佐は
今や
此島中に
身を
潜めて
兼て
企つるといふ、
軍事上の
大發明に
着手して
居るのではあるまいか。
讀者諸君も
恐らく
此邊の
想像は
付くだらう。
我々の
著手するのは、一
本老松のある
雜木山の
中で、
一寸眼には、
古墳でも
有るかと
思はれるが、これは四
方を
畑に
開いて
自然に
取殘された一
區劃に
他ならぬ。