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ちからまか
「
斯んな
紙ぢや、
又すぐ
破けますね」と
云ひながら、
小六は
卷いた
小口を一
尺ほど
日に
透かして、二三
度力任せに
鳴らした。
乾の
方の
垣根の
側へ
來た
時に
内儀さんは、
垣根の
土に
附いた
處を
力任せにぼり/\と
破つた。おつぎも
兩手を
掛けて
破つた。
と、
然う
思返したものゝ、
猶且失望は
彼の
心に
愈〻募つて、
彼は
思はず
兩の
手に
格子を
捉へ、
力儘せに
搖動つたが、
堅固な
格子はミチリとの
音も
爲ぬ。
と、そう
思返したものの、やはり
失望は
彼の
心にいよいよ
募って、
彼は
思わず
両の
手に
格子を
捉え、
力儘せに
揺動ったが、
堅固な
格子はミチリとの
音もせぬ。