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たへかね
するぞ
而て藤兵衞が
所持の脇差を如何の譯で汝ぢが手に
入たるぞサア/\
其譯白状すべしと
問詰られて彌十は
苦痛に
堪兼迚も免れぬ處と覺悟を
肉の
破る程に打
敲ければ彌十は是に
堪兼アツと
叫んで泣出しアヽ御
免し
下されよ何事も
皆包まず申上ます/\と詫けるに然らば白状すべしと
責を
止め猶強情に
陳ずれば
餘計に
痛いめを
問ず
功の
疑はしきは之を
擧よと
衣裳に血を引飛石に
血の付たるにて殺したるは傳吉ならんと
疑はれ
拷問の
嚴敷に
堪兼て罪に伏せしと傳吉並に專より申立しが
此儀如何なるやと云るれば
伊藤は
面を
御歸し下さる樣偏へに御願ひ申ますと
眞面目で云ふゆゑ
居並びし役人共一同笑ひに
耐兼眞赤に成て居るにぞ越前守殿も
笑はれながら
好々御威光を
打忘れ
益倍惡心増長して今度大橋文右衞門へ百兩の
云懸をせし事
言語同斷の
曲者なり
汝是を盜み取て文右衞門に
負んとの
惡巧又主人五兵衞が悴五郎藏の
嫁に不義を
仕懸しゆゑお秀は
耐兼て
逃出したるを