“こうぢん”の漢字の書き方と例文
語句割合
紅塵100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
時は九月の初め、紅塵こうぢんひるがへる街頭には赫燿かくやくと暑気の残りて見ゆれど、芝山内しばさんないの森の下道したみち行く袖には、早くも秋風の涼しげにぞひらめくなる
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
されば水筋みづすぢゆるむあたり、水仙すゐせんさむく、はなあたゝかかをりしか。かりあとの粟畑あはばたけ山鳥やまどり姿すがたあらはに、引棄ひきすてしまめからさら/\とるをれば、一抹いちまつ紅塵こうぢん手鞠てまりて、かろちまたうへべり。
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
独立の思想なく、唯社会の潮勢につれて浮沈するが如き人物は、日本の国運を支ふるに於て何か有ん、心にいさゝかの平和なく、利奔名走、汲々として紅塵こうぢん埃裏あいりに没頭し、王公にび、鬼神にへつら
都会の紅塵こうぢんを離れ、隅田の青流にのぞめる橋場の里、数寄すきらせる大洞利八おほほらりはちが別荘の奥二階、春寒き河風を金屏きんぺいさへぎり、銀燭の華光燦爛さんらんたる一室に、火炉をようして端坐せるは
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
そらは青々と澄みわたりて、地には菊花の芳香あり、此処都会の紅塵こうぢんを逃れたる角筈村つのはずむらの、山木剛造の別荘の門には国旗翩飜へんぽんたるもとに「永阪教会廿五年紀念園遊会」と、墨痕すみあと鮮かに大書せられぬ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)