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かつらがは
伊豆の國
狩野の庄、修禪寺村(今の修善寺)
桂川のほとり、夜叉王の住家。
桂川の
幕が
出る
時はお
半の
脊に
長右衞門と
唱はせて
彼の
帶の
上へちよこなんと
乘つて
出るか、
此奴は
好いお
茶番だと
笑はれるに、
男なら
眞似て
見ろ、
仕事やの
家へ
行つて
茶棚の
奧の
菓子鉢の
中に
雨の
晴れた
朝である。
修善寺の
温泉宿、——
館の
家族の
一婦人と、
家内が
桂川の
一本橋向うの
花畑へ
連立つて、
次手に
同家の
控の
別莊——あき
屋である——を
見せて
貰つた、と
言つて
話した。