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あをすぢ
手桶をも
其處に
投出して一つは
滿足成しが一つは
底ぬけに
成りけり、
此桶の
價なにほどか
知らねど、
身代これが
爲につぶれるかの
樣に
御新造の
額際に
青筋おそろしく、
朝飯のお
給仕より
睨まれて
彼の
容貌はぎす/\して、
何處か
百姓染みて、
※鬚から、ベツそりした
髮、ぎごちない
不態な
恰好は、
宛然大食の、
呑※の、
頑固な
街道端の
料理屋なんどの
主人のやうで、
素氣無い
顏には
青筋が
顯れ
唯見ると、
親父は
湯玉を
拂つて、
朱塗に
成つて
飛出した、が
握太な
蒼筋を
出して、
脛を
突張つて、
髯旦の
傍に
突立つた。