やく)” の例文
ハツカネズミは水をくんで、火をおこし、おぜんごしらえをするやくめです。それから、ちょうづめはたきをすることになっていたのです。
同伴者つれ親類しんるゐ義母おつかさんであつた。此人このひと途中とちゆう萬事ばんじ自分じぶん世話せわいて、病人びやうにんなる自分じぶんはらまでおくとゞけるやくもつたのである。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
そして、いつも、いつも、こんなひどいめにあわされるなら、かわやぶれて、はやく、やくにたたなくなってしまいたいとまでおもいました。
あるまりの一生 (新字新仮名) / 小川未明(著)
はややくにもたたぬ現世げんせ執着しゅうちゃくからはなれるよう、しっかりと修行しゅぎょうをしてもらいますぞ! 執着しゅうじゃくのこっているかぎ何事なにごともだめじゃ……。
しか今日こんにちところでは病院びやうゐんは、たしか資力ちから以上いじやう贅澤ぜいたくつてゐるので、餘計よけい建物たてもの餘計よけいやくなどで隨分ずゐぶん費用ひようおほつかつてゐるのです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
鐵材てつざい運搬役うんぱんやくでも、蒸滊機關じようききくわん石炭せきたんきでもんでもよいから、海底戰鬪艇かいていせんとうてい竣成しゆんせいするまで、わたくししかるべきやく遠慮えんりよなく使つかつてください。
「当日、都田川みやこだがわ刑場けいじょうで、伊那丸を太刀たちとりやく、それも呂宋兵衛とそちとに申しつけてあるが、用意万端よういばんたん、手ぬかりはあるまいな」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして為朝ためとも御機嫌ごきげんをとるつもりで、きゅう新院しんいんねがって為朝ためとも蔵人くらんどというおもやくにとりてようといいました。すると為朝ためともはあざわらって
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
火事かじときには防火樹ぼうかじゆとして非常ひじようやくいへかずにみ、ときにはひといのちすらすくはれることがあることもわすれてはなりません。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
とき勘次かんじもおしなはら大切たいせつにした。をんなが十三といふともうやくつので、與吉よきちそだてながら夫婦ふうふは十ぶんはたらくことが出來できた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
武揚たけあきは、その公使こうし大臣だいじんになって、日本にっぽんくにやくだつひとになりましたが、その武揚たけあきをたすけだしたのは、諭吉ゆきちそのひとでした。
私よりすぐれてゐるとあなたが主張なさることの出來る根據は、あなたが時や經驗をやくにお立てになつたところにあると思ひます。
その日のお施主せしゅ側は、以前もと青鞜社せいとうしゃの同人たちだった。平塚ひらつからいてう、荒木郁子あらきいくこという人たちが専ら肝入きもいやくをつとめていた。
遠藤(岩野)清子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
毒樣どくさまなこつたが獨活うど大木たいぼくやくにたゝない、山椒さんしよ小粒こつぶ珍重ちんちようされるとたかことをいふに、此野郎このやらうめとひどたれて
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
畢竟ひつきやうにんいろで、けつして一りつにはかぬものでしよく本義ほんぎとか理想りそうとかをいてところ實際問題じつさいもんだいとしてはあまやくたぬ。
建築の本義 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
位牌班ゐはいまだらといふので名が一たいおかしうございます、わたしもモウ明日みやうにちやくに立てばうございますが、今晩こんばんにもヒヨツと生者必滅しやうじやひつめつでございますから……。
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
馬鹿ばかにしちゃァいけねえ。いくらおせんのものだからッて、つめなんざ、んのやくにもたちゃァしねえや。かつぐのもいい加減かげんにしてくんねえ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
うせ貴方あなたげたんだから、使つかつたつて、だれも何とも云ふ訳はないでせう。やくにさへてばそれいぢやありませんか」と代助はなぐさめた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
せつなるみ願いにより、日光お作事目付、貴殿にお頼み申しあげそうろう。何分、子々孫々ししそんそんにいたるまで光栄のおやくゆえ、大過たいかなきよう相勤めらるべくそうろう
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
品物しなものばかりならてたつてなんやくつか?』と海龜うみがめさへぎつて、『いくつても説明せつめいしないから。こんなに錯雜紛糾ごたくさしたことをいたことがない!』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
これはありがたいやくめではありませんが、嵐の中にまた出ていくよりは、ずっとましです。そこで、ニールスは、目をさましていようと約束やくそくしました。
しか蘿月らげつは今よんどころ無く意見やくの地位に立つ限り、そこまでに自己の感想を暴露ばくろしてしまふわけにはかないので、の母親に対したと同じやうな
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
……ひとらぬが、此処こゝ老人らうじんに、みづなか姿すがたあらはすまぼろしをんな廻向えかうを、とたのまれて、出家しゆつけやくぢや、……よひから念仏ねんぶつとなへてつ、と時刻じこくた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
われ/\は日本につぽんふる時代じだい御陵ごりよう巡拜じゆんぱいすれば、一方いつぽう日本につぽん古墳こふんつくかた變遷へんせんをもることが出來でき歴史れきし研究けんきゆうにも非常ひじようやくつわけでありますから
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
どういふほんがいゝといつても、讀者どくしや其處そこまですゝんでなければ、どんな傑作けつさくんでも、やくにはたない。
読書の態度 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
如何程ちんじてもやくには立ぬ有體に白状して仕舞しまひいはざるに於ては此半四郎が目に物見するぞと白眼にらみつくるに久兵衞はハツと平伏ひれふせしが最早此の上は是非なしと思案を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
この級からは、みなさんに男子の代表だいひょうをえらびだしてもらわなければなりません。これはみなさんが在学中ざいがくちゅうただいちどしか出会であうことのできない重いやくめです。
美しき元旦 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
はばちたいといふためのその執拗しつえう努力どりよく勿論もちろんほかパイ使つかふことにでもなればなんやくたうはずもないのに、そんな骨折ほねをりをするといふ根氣こんきよさ、陰澁いんじふ
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
なやましいばかりの羞恥しゅうちと、人に屈辱くつじょくあたえるきりで、なんやくにも立たぬかたばかりの手続てつづきをいきどお気持きもち、そのかげからおどりあがらんばかりのよろこびが、かれの心をつらぬいた。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
甲給仕 ポトパンは何處どこせた? かたづける手傳てつだひをしをらぬ。かたづけやくくせに! 拭役ふきやくくせに!
それと同樣どうやうに、いつまでわたしがこのやくたなくきてゐても、やつぱりかはりなくあのひかりる!
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
レオニードフは『ジュリアス・シーザー』のカッシアスとか、『カラマーゾフ』のドミートリイとか、農民一揆のプガチョーフなどをはまやくとするいわば荒事師である。
それほどになさつても、なんのやくにもちません。あのくにひとれば、どこのもみなひとりでにいて、たゝかはうとするひとたちもえしびれたようになつてちからません
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
これもやはりそういう身分の人で、物事がよく出来るのでもって、一時はやくづいておりました。
幻談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「いいお点っていうものはね、なんのやくにもたないんですよ。」と、エムリーヌのおかあさんはおこたえになりました。「それだからかえって、いただいて自慢じまんになるのです。 ...
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
自分は好んで殿しんがりやくをつとめたわけではないが、つい馬がいうことをきかなかったので。——
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
りやう以上いじやう盜賊たうぞくでなくても、くびつながらなかつた。死刑しけい連日れんじつおこなはれた。れが月番つきばんときは、江戸えどなら淺右衞門あさゑもんともいふべき首斬くびきやくやいばに、らぬとてはなかつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
病躯びょうくを起して、この内憂外患の時節に、一方には倒れかけた幕府の威信を保ち、一方には諸国の頑強なあぶものを処分してゆく、にくまれやくは会津が一身に引受けたのであります。
て、ちがふもの——はいぶよはいはうるさがられ、ぶよこはがられてます。ぶよひとをもうまをもします。あのながくて丈夫ぢやうぶうま尻尾しつぽ房々ふさ/\としたは、ぶよひ拂はらのにやくつのです。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
どうも喧嘩けんくわわからない。晴着はれぎ晴着はれぎでよいではないか。また、單衣ひとへもの單衣ひとへものでよいではないか。晴着はれぎ晴着はれぎ單衣ひとへもの單衣ひとへもの晴着はれぎがいくら立派りつぱでも單衣ひとへものやくにはたない。單衣ひとへものもそうだ。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
それにはかならずひょうげやくというのがわきにいて、色々おかしいことをいって、その芸をしくじらせようとしたものであったが、それがこういう女の子の歌にも、伝わっていたものと思われる。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
その本讀の曲にてのやく、その平生の擧動は、例へば天上の仙の暫くこの世に降りて、人間の態をなせるが如くぞおもはるる。そのさまも好し。されどヂドの役にては、姫が全幅の精神を見るべし。
おい、大変たいへんだ。おい。おまえたちはこどもだけれども、こういうときには立派りっぱにみんなのおやくにたつだろうなあ。いいか。おまえはね、この森をはいって行ってアルキル中佐ちゅうさどのにお目にかかる。
ありときのこ (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
こゝろうちでは、そんなことをしてゐる寒山かんざん拾得じつとく文殊もんじゆ普賢ふげんなら、とらつた豐干ぶかんはなんだらうなどと、田舍者いなかもの芝居しばゐて、どのやくがどの俳優はいいうかとおもまどときのやうな氣分きぶんになつてゐるのである。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
で取りかゝりからもう熱がめる、きようが無くなる、しんから嫌氣いやけして了ツた。然うなると、幾ら努力したと謂ツて、あがいたと謂ツて、何のやくにも立ちはしない。で、たゞ狼狽する、えうするに意氣鎖沈せうちんだ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
夕立ゆふだち出會であつたときの樹陰位こかげぐらゐやくつとめるであらう。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
「これはたいせつにして、いつも肌身はだみはなさずもっていてくれ。またどんなことで、これがわたしたちのやくにたつかもしれぬからな。」
「その着物きものなくては、二てんへはかえれません。人間にんげんにはやくにたたぬものですが、天女てんにょには、なくてはならぬ着物きものでございます。」
羽衣物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし今日こんにちところでは病院びょういんは、たしか資力ちから以上いじょう贅沢ぜいたくっているので、余計よけい建物たてもの余計よけいやくなどで随分ずいぶん費用ひようおおつかっているのです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
くなあ、おつうはよきこと面倒めんだうんな、をんなうだからいゝのさな、やくつかんな」女房にようばう一人ひとりがいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)