“執着”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
しゅうじゃく38.3%
しゅうちゃく21.0%
しふぢやく13.6%
しふちやく7.4%
しゅうぢゃく6.2%
しうちやく1.2%
しうぢやく1.2%
しつこ1.2%
しつつ1.2%
しゅうちく1.2%
しゅうね1.2%
しゅうねく1.2%
とつつ1.2%
とつつか1.2%
とりつ1.2%
シフヂヤク1.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
どこまでも執着しゅうじゃくつよわたくしは、自分じぶん家族みうちのこと、とりわけ二人ふたり子供こどものことがにかかり、なかなか死切しにきれなかったのでございます。
はややくにもたたぬ現世げんせ執着しゅうちゃくからはなれるよう、しっかりと修行しゅぎょうをしてもらいますぞ! 執着しゅうじゃくのこっているかぎ何事なにごともだめじゃ……。
元来僕は何ごとにも執着しふぢやくの乏しい性質である。就中なかんづく蒐集しうしふと云ふことには小学校にかよつてゐた頃、昆虫の標本へうほんを集めた以外に未嘗いまだかつて熱中したことはない。
蒐書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
からははひにあともとゞめずけぶりはそら棚引たなびゆるを、うれしやわが執着しふちやくのこらざりけるよと打眺うちながむれば、つきやもりくるのきばにかぜのおときよし。
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
実に、寸毫すんごうといえども意趣遺恨はありません。けれども、未練と、執着しゅうぢゃくと、愚癡ぐちと、卑劣と、悪趣と、怨念おんねんと、もっと直截ちょくせつに申せば、狂乱があったのです。
革鞄の怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
... 此様な作に執着しうちやくがあるやうじや、俺もあはれな人間だ………」と思ふ。そして、「あゝ。」と萎頽がツかりしたやうな歎息ためいきする。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
さつせずしてこれふ、いづれも世道せだう執着しうぢやくして、眞相しんさうあやまつなり。く、こゝしるすものはみな事實じじつなりと。
怪談会 序 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「まあさ、お聞きなね。深切だといえば深切だが、どちらかといえば執着しつこいのだわ。かいつまんで話すがね、ちょいと聞賃をあげるから。」
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それに、あそこの間歇泉は塩類泉なので、いやに執着しつつこいやうなところがあつた。肌への当り具合もわるく刺戟性に富んでゐた。
女の温泉 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
甥の景清にも一切の執着しゅうちくを去って、復讐の企てなど思い切りまするよう、いくたびか意見申したれど……。
平家蟹 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
何炭なにを盗られたの」とお徳は執着しゅうねくお源を見ながら聞いた。
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
これりの話だよ、たれにもしらしてはなりませんよ。私がだ若い時分、お里の父上おとうさまえんづかない前にある男に言い寄られて執着しゅうねく追いまわされたのだよ。けれども私は如何どうしても其男の心に従わなかったの。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
さうして挙句あげくがこんな事に成つたのも、想へばみんな那奴のお蔭だ。ええ、くやしい! 私はきつと執着とつついても、このうらみは返してるから、覚えてゐるが可い!
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
かう執着とつつかれでもするやうな気がして、あの、それ、く夢で可恐おそろしい奴なんぞに追懸おつかけられると、げるには迯げられず、声を出さうとしても出ないので、どうなる事かと思ふ事がありませう
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
お岩かかさねにでも執着とりつかれたような心持で、わたくしは怖々こわごわながら付いて行くと、女はすすり泣きをしながら、どうで一度は知れるに決まっていると覚悟はしていたが、さてこうなると悲しい
半七捕物帳:43 柳原堤の女 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
死んだ父も、さうした物は、或は、おれよりも嗜きだつたかも知れぬほどだが、もつと物に執着シフヂヤクが深かつた。現に、大伴の家の行く末の事なども、父はあれまで、心を惱まして居た。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)