)” の例文
眞新しい紅白の鈴ので縛り上げられた中年者の男が、二た突き三突き、匕首あひくちされて、見るも無慙むざんな死にやうをして居るのです。
そうするとその矢は、若日子がちょうど下界であおむきにていた胸のまん中を、ぷすりと突きして一ぺんで殺してしまいました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
是等の他にも大魚を捕ふる法有りしなり。此事は常陸椎塚より發見はつけんされたる大鯛おほだいの頭骨に骨器のさり在りし事に由つて知られたり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
雜木林ざふきばやしあひだにはまたすゝき硬直かうちよくそらさうとしてつ。そのむぎすゝきしたきよもとめる雲雀ひばり時々とき/″\そらめてはるけたとびかける。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
にくいいたずらはりしてやりたいとおもいましたが、どこへげたか、その子供こどもらの、かげも、かたちもあたりにはえませんでした。
はちとばらの花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
実際、空はくっきりと晴れているのに、そこに反射している光線は、明るいながらすほどでなく、身にみるように美しい。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
一月ひとつきの後、百本の矢をもって速射を試みたところ、第一矢がまとあたれば、続いて飛来った第二矢は誤たず第一矢のやはずに中って突きさり
名人伝 (新字新仮名) / 中島敦(著)
こつなどのは、質屋しちやのことを御存ごぞんじかな。』と、玄竹げんちく機智きちは、てき武器ぶきてきすやうに、こつな言葉ことばとらへて、こつなかほいろあかくさせた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
なよたけ 逃げなくったって大丈夫! こっちでおいたをしなければ蜜蜂みつばちは決してしたりなんかしないわ。……ほら、行ってしまった。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
腹部おなか病気びょうきでございました。はりされるようにキリキリと毎日まいにちなやみつづけたすえに、とうとうこんなことになりまして……。』
が、そのうちに、勝龍寺城の落去も伝わり、光秀の死も聞えて来たので、兄弟は、淀の小橋のたもとに坐って、見事にちがえて果てた。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしてやけどをひやそうとおもって、水がめの上にかおしますと、かげからはちがぶんととびして、さるの目の上をいやというほどしました。
猿かに合戦 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
どうかすると蘇生いきかへつたはちはれてされたといふひとはなしきました。さうなると鐵砲てつぱうをかついでけものちにくもおなじやうなものです。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
をつとはわたしをさげすんだまま、「ころせ」と一言ひとことつたのです。わたしはほとんどゆめうつつのうちに、をつとはなだ水干すゐかんむねへ、ずぶりと小刀さすがとほしました。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
げたでまれたひたいのこぶがしくしく痛みだす。がかれはそれよりも痛いのは胸の底をされるような大なる傷であった。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
ラランの悪知慧わるぢえ有名いうめいなもので、ほかのとりがうまくんでるのをると、近寄ちかよつては自分じぶんとがつた嘴先くちさきでチクリとして墜落ついらくさせてしまふのだ。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
依つてスサノヲの命はその孃子おとめくしかたちに變えて御髮おぐしにおしになり、そのアシナヅチ・テナヅチの神に仰せられるには
支那にも『輟耕録』十一に、西域人木八剌、妻と対し食事す、妻金の肉しで肉を突いて、口に入れ掛けた処へ客が来た。
が、今度だけは博士の眼がぎょろりと光ったのは、多少ともネルスキーの言葉が博士の皮膚の下までしたものらしい。
してくれる。あのひたむきな、思いつめた声音、緊張した歌いぶりが、私のいちばん深いところを刺してくれるんです
軍国歌謡集 (新字新仮名) / 山川方夫(著)
あね※引ぱりも百までさ。)またその慓悍な声がすようにった。そしてまたしんとした。そして心配しんぱいそうないきをこくりとのむ音が近くにした。
泉ある家 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ななめ下には、教会堂の尖塔せんとうするどく、空に、つきさって、この通俗的な抒情画じょじょうがを、さらに、完璧かんぺきなものにしていました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
つりをする、あみつ、とりをさす、みんなひと智恵ちゑで、にもらない、わからないから、つられて、されて、たべられてしまふのだトかういふことだった。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
真剣しんけんだ。復讐魔ふくしゅうまと化しさっている喬之助の一語一語が、剃刀かみそりのように冷たさをもって、戸を貫いて壁辰の胸をす。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
んだそらつきながらながめる、ひといきれからのがれた郊外こうがいたのしみは、こゝにとゞめをす……それがられない。
ねこ (旧字旧仮名) / 北村兼子(著)
総年寄そうどしより今井が火消人足ひけしにんそくを指揮して、焼けた材木をけさせた。其下から吉兵衛と云ふ人足がづ格之助らしい死骸を引き出した。胸がつらぬいてある。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
渡良瀬川わたらせがわの渡し場から中田に来る間の夕暮れの風はヒュウヒュウとはだすように寒く吹いた。灰色の雲は空をおおって、おりおり通る帆の影も暗かった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
ロミオ なに、こひ温柔やさしい? 温柔やさしいどころか、粗暴がさつ殘忍あらけなものぢゃ。荊棘いばらのやうにひとむねすわい。
かつたひげが、ほゝあたりやうにざら/\したが、いま宗助そうすけにはそれをにするほど餘裕よゆうはなかつた。かれはしきりに宜道ぎだう自分じぶんとを對照たいせうしてかんがへた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
これは鹽燒しほやき、てんぷら、つけ、などになり、鑵詰かんづめにあきた登山者とざんしやにとつてなによりの珍味ちんみです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
そして彼女あれはグリスビイ・リトリイトの番人をしてゐる息子を連れて來て、私の奧さまがお手のものゝ夜中よなかに寢てる人間に火をつけたり、し殺さうとしたり
刺槐はりゑんじゆよ、い匂がして、ちくちくしてくれるのが愛のたはむれなら、後生ごしやうだ、わたしの兩眼りやうがんりぬいておくれ、さうしたら、おまへの爪の皮肉も見えなくなるだらう。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
三言みこととはばれもせずおびよりさきたすきがけの甲斐かひ/\しく、井戸端ゐどばたいづればつきかげながしにのこりて、はだへすやうなかぜさむさにゆめわすれぬ、風呂ふろすゑ風呂ふろにておほきからねど
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
またさかなときばりだとか、さかなときもりにも、ほねつのつくつたものでなければやくたないのでありまして、常陸ひたち椎塚すいつかといふ貝塚かひづかからは、たひあたまほね
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
たかるだけでしもせず喰ひつきもしないやつはいゝけれど、尺とりだけには用心せねばならない、足のかゝとからぼんくぼまで計られると三日の中になねばならないからなと
筑波ねのほとり (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
なんだかまるで誰かに復讐ふくしゅうをしようとでも思っているように、憎々しい毒念が彼の胸をすのであった。彼は、先刻の会話を思い出すと、アリョーシャさえも憎らしかった。
ポアッソニエの大通グランブールヴァルはもう五色ごしきの光の槍襖やりぶすまを八方から突出つきだしていた。しかしそれにされ、あるいはそれをけて行く往来の人はまだふるいにかけられていなかった。ゴミが多かった。
売春婦リゼット (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
道徳の旨を知らず、雕飾ちゅうしょく綴緝てっしゅうして、以て新奇となし、歯をかんし舌をして、以て簡古と為し、世において加益するところ無し。是を文辞ぶんじという。四者交々こもごもおこりて、聖人の学ほろぶ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
足柄あしがら彼面此面をてもこのもわなのかなるしづみあれひもく 〔巻十四・三三六一〕 東歌
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
……なんてお馬鹿ばかさんなの、あなたは? どこか怪我けがしなかったこと? イラクサにされて、ちくちくしやしなくって? そう言っているのよ、わたしの顔を見ちゃいけないって。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
防禦ぼうぎょともにこれを用いるゆえ、蜂の団体は多くの敵に勝って繁栄している次第であるが、この針には逆に向いたかぎがあって、いったんこれで人などをすとそのままになって抜けない。
進化論と衛生 (新字新仮名) / 丘浅次郎(著)
次郎の張りきった気持は、それで針をされた風船球のようにしぼんでしまった。
次郎物語:03 第三部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
「おねがひだから、しづかにしてゐてくんな」とたのみました。しづかになつたやうでした。すると、こんどはあぶやつぎん手槍てやりでちくりちくりとところきらはず、肥太こえふとつたうしからだしはじめました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
一坪程の小さな草舎くさやがある。屋後うしろには熊の髑髏あたまの白くなったのや、まだ比較的なましいのを突きしたさお、熊送りに用うるアイヌの幣束イナホなどが十数本、立ったり倒れたりして居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ドチラかというと寡言の方で、眼と唇辺に冷やかな微笑を寄せつつ黙して人の饒舌おしゃべりを聞き、時々低い沈着おちついた透徹すきとおるような声でプツリととどめをすような警句を吐いてはニヤリと笑った。
斎藤緑雨 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
当時とうじ江戸えどの三人女にんおんなずい一とった、おせんのはだられるなら、われようが、むしされようが、すこしもいとうことじゃァない、きな煙草たばこつつしむし、こえ滅多めったすまいから
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
彼だって人間の心は持っているだろう。重盛しげもりもついている。あゝそれよりももしやあの純潔な、ほこりをもった妻が、侮辱ぶじょくされるのを恐れて、子供をし殺して、自害じがいしはしなかったろうか。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
注射器の中には空気のガランどうが出来ている。このまま静脈にしてやろうかと、寺田は静脈へ空気を入れると命がないと言った看護婦の言葉を想い出し、狂暴に燃える眼で一代の腕を見た。
競馬 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
是をこしらえた女たちは、たとえば野ら働きの最もせわしい日でも、持って行って田のくろに包んで置き、男が茶を飲み煙草たばこを吸う時間にも、一針ひとはりでも是をして置こうとしたのだそうである。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
という意味のことを叫びたてると、ポルトガル人が飛んできて、刀で吉之丞の腹をした。吉之丞は錠銀じょうぎんを腹巻に入れて腹に巻いていたので、いくどか刺されたが、いっこうにこたえなかった。
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)