鼓草たんぽゝ)” の例文
美女たをやめは、やゝ俯向うつむいて、こまじつながめる風情ふぜいの、黒髪くろかみたゞ一輪いちりん、……しろ鼓草たんぽゝをさしてた。いろはなは、一谷ひとたにほかにはかつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
トなだらかな、薄紫うすむらさきがけなりに、さくらかげかすみ被衣かつぎ、ふうわり背中せなかからすそおとして、鼓草たんぽゝすみれ敷満しきみちたいはまへに、美女たをやめたのである。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
美女たをやめまたかぞへて、鼓草たんぽゝこまつて、格子かうしなかへ、……すみれはないろけて、しづか置替おきかへながら、莞爾につこ微笑ほゝゑむ。……
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)