黄泉あのよ)” の例文
また恐ろしい人買いなどに捕えられないものでもなし、それより綺麗きれいなこの湖水へいっそ身を投げ死んだなら、黄泉あのよの実の母様にお目にかかることも出来ようかと……
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ことあたらしく今更に道十郎が後家に告口つげぐちなし此長庵がいのちちゞめさせたるは忝けないともうれしいともれい言盡いひつくされぬ故今はくゝられた身の自由じいうならねばいづ黄泉あのよからおのれも直に取殺し共に冥土めいどつれゆき禮を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
母上は黄泉あのよに行かれた。
一月一日 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
こんなに焦れている私達、一緒になれないでどうしましょう。美しい黄泉あのよで、魂と魂と……
柳営秘録かつえ蔵 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
思ひこみかく始末しまつに及びし事御わびは程なく黄泉あのよにて申上てと伏拜ふしをがみ夫より一さんに南の町奉行所へ駈込かけこみ私しは主殺しの大罪人だいざいにん御定法ごぢやうはふの御仕置しおき願奉つると申たてければ役人共は一時發狂人はつきやうにんと思ひしが容易よういならざるうつたへなればすぐに一通り調しらべ有てなは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
と云うのは何んでも夜になると、その鳰鳥は一瞬間ほんのひととき現世このよから黄泉あのよへ行くそうじゃ。言い換えるとつまり死ぬのじゃな。そうして一旦いったん死んで置いて、それから間もなく生き返るそうじゃ。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)