鹽煎餅しほせんべい)” の例文
新字:塩煎餅
ボリ/\みつゝ、手酌てじやくで、臺附だいつき硝子杯コツプかたむけたが、何故なぜか、とこなか夜具やぐかぶつて、鹽煎餅しほせんべいをおたのにした幼兒をさなごとき思出おもひだす。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
開けさへすれば鹽煎餅しほせんべいぐらゐはおごるぜ——引つ張つたつて駄目だよ、何處かう拍子をつけて叩くんださうだ『叩けば開かれる』といふ昔の人の工夫にあやかつたものだ
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
かみづつみの鹽煎餅しほせんべいと、夏蜜柑なつみかんつて、立寄たちよつて、ことばつうぜずなぐさめたひとがある。わたしは、ひとのあはれと、ひとなさけなみだぐんだ——いまかるゝ。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あんずるに、團子だんご附燒つけやきもつ美味うまいとしてある。鹽煎餅しほせんべい以來このかた江戸兒えどつこあまあまいのをかぬ。が、なにかくさう、わたし團子だんごあんはう得意とくいとする。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)