鶏卵けいらん)” の例文
旧字:鷄卵
鶏卵けいらんでさえ産みたては料理に使えないで三十六時間過ぎた処が食べ頃だと伺いましたが小麦の新しいのも悪いしお米の新しいのも悪いし
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
津田のぜんには二個の鶏卵けいらんと一合のソップと麺麭パンがついているだけであった。その麺麭も半片の二分ノ一と分量はいつのまにか定められていた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
げん支吾しごあらんには、巌石がんせき鶏卵けいらんを圧するの勢を以て臨まんとするの状をし、昺貴へいきの軍の殺気のはしるところ、をば放って府内に達するものすら有りたり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そして佐伯はずるそうに笑いながら、物入れから鶏卵けいらんを二箇出して、之を中尉殿に上げます、と言った。
日の果て (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
その証拠しょうこには、殺すつもりでなしに、何か鶏卵けいらんの三十も少し遠くの方でご馳走ちそうをするつもりで、豚の足になわをつけて、ひっぱって見るがいいやっぱり豚はキーキー云う。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
鶏卵けいらんにたとえていえばちょうど黄身きみ白身しろみもまだ判然と分かれておらぬ程度である。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
やがてみずから麺粉めんふん鶏卵けいらんを合せき居られしが、高橋も来りてこれを見て居けるうち、鶏卵の加減かげん少しぎたるゆえ、ぱちぱちと刎出はねだし、先生の衣服いふく勿論もちろん余滴よてき、高橋にも及びしかば
八日目には七時頃から下宿を出て、まずゆるりと湯に入って、それから町で鶏卵けいらんを八つ買った。これは下宿の婆さんの芋責いもぜめに応ずる策である。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
午前十時が鶏卵けいらん半熟はんじゅく一つとやきパン二十瓦即ち五匁、昼食ちゅうじきがよく叩いたビフステーキ百瓦即ち二十五匁、砕きたる馬鈴薯じゃがいも二百瓦即ち五十匁、あめ二十瓦即ち五匁
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
則ちけものや魚やすべて肉類はもちろん、ミルクや、またそれからこしらえたチーズやバター、お菓子かしの中でも鶏卵けいらんの入ったカステーラなど、一切いけないという考の人たち、日本ならばまあ
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
カロリーは君も知っての通り熱量の単位で食物が体温を保持する割合から定めたものだ。大きな鶏卵けいらん一個は八十カロリーだから鶏卵ばかり食べるなら十三貫目の人は一日に二十五を要する。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
されどもついにその苦行の無益をさとり山を下りて川に身を洗い村女のささげたるクリームをとりて食し遂に法悦エクスタシーを得たのである。今日こんにち牛乳や鶏卵けいらんチーズバターをさえとらざるビジテリアンがある。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
... 第一の問題たる鶏卵けいらんの成分とはどういう訳だね」中川
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
鶏卵けいらんは何と何の成分にて成立つや
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)