馬鹿々々ばかばか)” の例文
わたしは、まるでゆめの中にでもいるように身を運びながら、何やら馬鹿々々ばかばかしいほど緊張きんちょうした幸福感を、骨のずいまで感じるのだった。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
それをきいて、小ぐまさんは、つい、もらひ泣きをしました。が、気がついて見ると、自分ながら、あまり馬鹿々々ばかばかしいので、かう決心しました。
泣き虫の小ぐまさん (新字旧仮名) / 村山籌子(著)
富士の山ほどお金をためて毎日五十銭ずつ使うつもりだとか、馬鹿々々ばかばかしい、なんの意味もないようなうたばかりなので、全く閉口のほかは無い。
パンドラの匣 (新字新仮名) / 太宰治(著)
ある時に隠居が私と箕作みつくりを呼んで、ドウじゃい、お前さん方は幕府に雇われて勤めて居るけれども、馬鹿々々ばかばかしいしなさい、ソレよりか上方にいって御覧。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
其処そこには火花が漏れるような堅さがあった。それだけ、勝平に対する侮辱ぶじょくも、甚だしかった。こんな男と言葉を交えるのさえ、馬鹿々々ばかばかしいと、った表情が、彼女の何処どこかに漂っていた。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
これを読んで、馬鹿々々ばかばかしいと思う人は笑って下さい。教訓になると思う人は、いい見せしめにして下さい。私自身は、ナオミにれているのですから、どう思われても仕方がありません。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ばあさん、風説うわさを知りつゝうやつて一人で来た位だから、打明けて云ひます、見受けたところ、君は何だ、様子が宛然まるで野のぬしとでもいふべきぢやないか、何の馬鹿々々ばかばかしいと思ふだらうが、好事ものずきです
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「そんな馬鹿々々ばかばかしいことはいやですよ。」
兎と亀 (新字新仮名) / ロード・ダンセイニ(著)
警戒却て無益なり前のしまの話に引替えて、誠に馬鹿々々ばかばかしい事もあります。明治五年かと思う。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
出席した自分が、何だか心細く馬鹿々々ばかばかしくなって来た。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
刀剣を売払うソコで私はただ独りの身をつつしむと同時に、是れはドウしたって刀はらない、馬鹿々々ばかばかしい、刀はうっ仕舞しまえと決断して、私の処にはそんなに大小などは大層もありはしないが
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)