飴売あめうり)” の例文
遠くの方から飴売あめうり朝鮮笛ちょうせんぶえが響き出した。笛のは思いがけない処で、妙なふしをつけて音調を低めるのが、言葉にいえない幽愁をもよおさせる。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
飴売あめうり土平どへい道化どうけ身振みぶりに、われをわすれて見入みいっていた人達ひとたちは、っていたような「おせんがた」というこえくと、一せいくびひがしけた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
ここが北条氏康、氏政の本拠かと、事々物々に思わず眼を奪われて、うっかり歩いていたのであるが、気がついてみると、自分の姿は、阿波あわ人形を飴箱の上に乗せ、それを首に掛けている飴売あめうりなのだ。
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
よぼよぼの飴売あめうりは、あなしばし、ちやるめらを吹く。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
飴売あめうりのチャルメラけば
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
遠くのはうから飴売あめうり朝鮮笛てうせんぶえひゞき出した。笛のは思ひがけないところで、めうふしをつけて音調おんてうを低めるのが、言葉にへない幽愁いうしうもよほさせる。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
ここぞとばかり、いきせきってけた群衆ぐんしゅう苦笑くしょうのうちに見守みまもっていたのは、飴売あめうり土平どへいだった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「これはまた迂濶うかつばん飴売あめうり土平どへいは、近頃ちかごろ江戸えど名物めいぶつでげすぜ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)