がわ)” の例文
ホノルル・ブロオドウェイの十仙店テンセンストアで、ぼくは、あかのセエムがわ表紙のノオトを買いました。初めて、米国の金でした買物、金五十仙なり
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
むらさきがわ巾着きんちゃくであった。その金入れの中には、金銀取交とりまぜてだいぶの額が入っていた、又八は数えるだけでも自分の心が怖くなって、思わず
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「手をお見せ、お前の手を。……白くて柔くてなめがわのようだ。ああこの手で幾人の男のたくましい肩を抱いたことか!」
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「これはきっと、エナメルがわだね。まあ、よく光ってること。」と、お年よりはいいました。
なめしがわのような頬を撫でながらさえぎった
おごそかな渇き (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
なんのために。あかいセエムがわがちらつく気持でした。眩暈めまいが起ればよかったのです。がぼくは、そのまま歩き続けました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
頭巾の色は緋無垢ひむくである。足には山袴やまばかま穿いていたが、それはかば色のなめがわであった。亀甲形のくずの筒袖に萌黄もえぎの袖無しを纏っている。腰に付けたは獲物袋でそれに黐筒もちづつが添えてある。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
握り太にして三尺五寸なめがわで包んだ竹刀を引っ下げ、おりから武者窓から棒縞ぼうじまをなして、幾筋か場内へ流れ込んで来た午後の日の光に半身を染めて、悠々然として突っ立った態度は
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
いわゆる今日の外科道具で銀色の小刀、同じ色のはさみ、象牙のへら、鹿のなめがわ鵠毛くぐいげ刷毛はけ、鋭い鉄針、真鍮しんちゅうの輪、それと並べて大小の箱が、粉薬水薬を一杯に満たせ、整然として置かれてある。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)