雪枝ゆきえ)” の例文
ひかけて、左右さいうる、とほりくさばかりではく、だまつて打傾うちかたむいて老爺ぢゞいた。それを、……雪枝ゆきえたしか面色おもゝちであつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
庸三にいやな予感を与えたのは、清川の年上の愛人雪枝ゆきえうちで催された、年暮のおさらいの納会の時であった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
『おうら、おうら。』とつたが、返事へんじない。雪枝ゆきえうきよろ/\しした、それ二足三足ふたあしみあしづゝ、前後左右ぜんごさいうを、ばた/\とつたり、たり……
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
瑠美子るみこには何か花やかな未来を約束しておきたかったので、差し当たりいつも新しい道を切り開いて、世間の気受けもいい舞踊家の雪枝ゆきえに、内弟子として住みこませたい念願だったので
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
たゞし其時そのときから、両親りやうしんわたくしをとこにしました。それまで、三人さんにん出来できみんなそだたなかつたので、わたくしをんなにしていたんです。雪枝ゆきえをんなのやうな。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)