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隱居所
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いんきよじよ
父さんの
祖母さんの
隱居所になつて
居た二
階と
土藏の
間を
通りぬけて、
裏の
木小屋の
方へ
降て
行く
石段の
横に、その
井戸がありました。
憐み
何時迄狂氣でも有まじ其内には
正氣に成るべしとて
連歸り是も
隱居所へ入置
遣はせしに
追々正氣に
相成ければ又々以前の如く
産婦の
取揚を
叫び歩くにぞ
名主の甚兵衞も
持あまし其
隱居所を
追出しけり
然ばお三婆は
住家を失なひ所々方々と
浮れ
彷徨しを
失なひて
殘念なりと
罵詈狂ひ歩行候ゆゑ甚兵衞も
迷惑に存じ
隱居所を追出せしにお三婆は
宿なしと
相なりしを
隣村の名主甚左衞門といふ者當村の
名主甚兵衞が
弟にて
慈悲深人にて是を