隆起りゅうき)” の例文
K興奮にあたるところに、僅かの隆起りゅうきのある曲線で、わざわざ「木戸現象きどげんしょう導出どうしゅつするに至りたる根拠の曲線」と書き込まれていた。
キド効果 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その筋肉のあらあらした隆起りゅうきや青髯の痕にくらべて、かたわらから扇で風を送っている嫋女たおやめは余りに優雅みやびていた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
このまえさぐった時は、途中に瘢痕はんこん隆起りゅうきがあったので、ついそこがきどまりだとばかり思って、ああ云ったんですが、今日きょう疎通を好くするために、そいつをがりがりき落して見ると
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
かの女の小児型の足が二つまりのようにずんだ。よく見ればそれに大人おとなの筋肉の隆起りゅうきがいくらかあった。それを地上に落ち付けると赭茶あかちゃ駒下駄こまげたまわりだけがくびれて血色を寄せている。
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
くきは直立し少数の茎葉けいよう互生ごせいし、初夏しょかこういただき派手はでやかな大花たいかが咲く。葉は直立せる剣状けんじょう白緑色はくりょくしょくていし、基部きぶ葉鞘ようしょうをもって左右に相抱あいいだき、葉面ようめんの中央には隆起りゅうきせる葉脈ようみゃくあらわれている。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
別に特別の発見もなかったが、唯一つ、右の拇指ぼしの腹に針でついたほどの浅い傷跡きずあとがあって、その周囲だけが疣状いぼじょう隆起りゅうきし、すこし赤味が多いのを発見した。
麻雀殺人事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
あまりのことに、人々は思わず顔をそむけた。なんという人体だ。顔は一方からいだようになり、肩には僅かに骨の一部が隆起りゅうきし、胸は左半分だけ、腹はへその上あたりで切れている。
俘囚 (新字新仮名) / 海野十三(著)