阿彌陀あみだ)” の例文
新字:阿弥陀
のべ用意ようい雨具あまぐ甲掛かふかけ脚絆きやはん旅拵たびごしらへもそこ/\に暇乞いとまごひしてかどへ立出菅笠すげがささへも阿彌陀あみだかぶるはあとよりおはるゝ無常むじやう吹降ふきぶり桐油とうゆすそへ提灯の
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
はりに、青柳あをやぎ女郎花をみなへし松風まつかぜ羽衣はごろも夕顏ゆふがほ日中ひなか日暮ひぐれほたるひかる。(太公望たいこうばう)はふうするごとくで、殺生道具せつしやうだうぐ阿彌陀あみだなり。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
水源は奥山の巨巖に自然に刻まれた阿彌陀あみだ如来の立像の臍の穴から、一滴ずつ落ちる水であると父母から聞かされた。
利根の尺鮎 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
白い繃帶の鉢卷した頭に兵隊帽を阿彌陀あみだに冠つた子供の傷々いた/\しい通學姿が眼の前に浮かんで來ると、手古摺らす彼女からは自然と手を引いてひそかに圭一郎は涙を呑むのであつた。
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
そんな事を言ひ乍ら、茶人帽を阿彌陀あみだに、足元危ふく巣鴨の夜の闇へ出たのです。
「その大きなのだ」と、例の麥藁帽を受け取つて、それをわざと阿彌陀あみだに被る。
泡鳴五部作:03 放浪 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
金色こんじき如來によらい阿彌陀あみだ
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
何の疑ひもなく阿彌陀あみだ樣と首つ引でその日/\を送つて居ると言つた人柄でした。
「お宗旨がどうしたんだ。俺のところは、死んだお袋の遺言で、阿彌陀あみだ樣一點張りさ、——太鼓持お宗旨だけは負けてゐず——とな。御用聞だつて金づくや權柄づくぢや、宗旨は變へないよ」
「六阿彌陀あみだと間違へちやいけません」