防禦ばうぎよ)” の例文
あらゆる威嚇いかく、甘言、情実、誘惑に対する彼女の防禦ばうぎよ方法は、只だ沈黙と独身主義とのみ、流石さすがの剛造も今はほとんど攻めあぐみぬ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
ねこ死人しにんえてわたるとけるといつてねこ防禦ばうぎよであつた。せてけばねこわたらないとしんぜられてるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
向ふは新聞を配る事が職業であるし、此方はそれを防禦ばうぎよする事は職業ではない。結局その日から貼り札は中止した。
姉弟と新聞配達 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
されど汝はわがこたびの論のうちにて難駁なんばくかうむりたるものなれば、正當なる防禦ばうぎよせよといふ。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
この大雪をいて、市村弁護士と蓮太郎の二人が飯山へ乗込んで来る、といふうはさは学校に居る丑松の耳にまで入つた。高柳一味の党派は、の風説に驚かされて、今更のやうに防禦ばうぎよを始めたとやら。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
丁度ちやうどそれは子孫しそん繁殖はんしよく自己じこ防禦ばうぎよとの必要ひつえうまつたわすれさせられたなし接木つぎきが、おほきなとげみきにもえだにもたなくつたやうに、恐怖おそれ彼等かれらつたのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)