門柱もんばしら)” の例文
石の門柱もんばしらに鉄格子の扉が取り附けてあって、それが締めて、脇の片扉だけがいていた。門内の左右を低い籠塀かごべい為切しきって、その奥に西洋風に戸を締めた入口がある。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
中では一番年増としかさの金ちゃんは尻切しりき草履ぞうりを引きずって門柱もんばしらに手を掛けながらとびらの陰にかくれて恐々覗いている私を誘った。坊ちゃんの小さい姿は町っ子の群れに取り巻かれて坂を下った。
山の手の子 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
花崗石みかげいし門柱もんばしらを並べて扉が左右に開いて居る、門の内の横手の格子こうしの前に、萌黄もえぎに塗った中に南と白で抜いたポンプがすわって、そのふち釣棹つりざおふごとがぶらりとかかって居る、まことにもの静かな
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
人通りの少い広々とした町に、生垣を結いめぐらした小さい家の並んでいる処がある。その中の一軒の、自然木しぜんぼく門柱もんばしらに取り附けた柴折戸しおりどに、貸家の札が張ってあるのが目に附いた。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
普請小屋ふしんごやと、花崗石みかげいし門柱もんばしらならべてとびら左右さいうひらいてる、もんうち横手よこて格子かうしまへに、萌黄もえぎつたなかみなみしろいたポンプがすわつて、そのふち釣棹つりざをふごとがぶらりとかゝつてる、まことにものしづかな
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)