鐵槌かなづち)” の例文
新字:鉄槌
八五郎が見せてくれた左の耳には、半分ほど打ち込んだ大疊針の頭が光り、側には念入りに鐵槌かなづちまで投り出してあるではありませんか。
可哀氣かはいげに、苦勞くらうやみにわづらつて、おびをしめてもゆるむほど、細々ほそ/″\つてるものを、鐵槌かなづちつやうに、がん/\と、あたまへひゞくまでまをしましたわ。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「短かい疊針だよ、——鐵槌かなづちで一氣に打ち込んだのだらう、——耳の中に、そら、鐵の疊針の頭が少し見えるだらう——鬼のやうな奴の仕業しわざだ」
さみしい、しんとしたなか手拍子てびやうしそろつて、コツ/\コツ/\と、鐵槌かなづちおとのするのは、この小屋こやならんだ、一棟ひとむね同一おなじ材木納屋ざいもくなやなかで、三石屋いしやが、いしるのである。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
鐵槌かなづちで叩いたのでなければ、恐ろしい強力です、——何うして刺したらう——平次はフトそんな事を考へて居りました。
エヽそんならコウ鐵槌かなづちがあらばつてしねえ。女「オホホ、かなさいこづちことかいな、ソレなんちふさんすのぢやいな。「イヤあの箱枕はこまくら此柱このはしらへうちつけてちながらるつもりだ。 ...
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)