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金唐革
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きんからかわ
ふりがな文庫
“
金唐革
(
きんからかわ
)” の例文
蝋塗
(
ろうぬ
)
りに
螺鈿
(
らでん
)
を散らした、見事な
鞘
(
さや
)
がそこに落散って、外に男持の煙草入が一つ、
金唐革
(
きんからかわ
)
の
叺
(
かます
)
に、そのころ圧倒的に
流行
(
はや
)
った
一閑張
(
いっかんばり
)
の筒。
銭形平次捕物控:116 女の足跡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その席へ
幇間
(
ほうかん
)
が一人やって来て言うことには、ただいま
拙
(
せつ
)
は、途中で結構なお煙草入の落ちていたのを見て参りました、
金唐革
(
きんからかわ
)
で
珊瑚珠
(
さんごじゅ
)
の
緒〆
(
おじめ
)
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そしてお久のような妾を置いて、腰に
金唐革
(
きんからかわ
)
の煙草入れを提げ、蒔絵の弁当箱を持って芝居見物に来るようなふうに、………いや事に依ると十年を待たないかも知れない。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
丁度「
金唐革
(
きんからかわ
)
」が
姫路
(
ひめじ
)
の産となったのと同じであります。他にない革細工でありますし、質もよくまた美しさも
豊
(
ゆたか
)
でありますから、永く仕事が続くことを望んで
止
(
や
)
みません。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
先なる一壮漢は、
狭霧
(
さぎり
)
の
薄戦衣
(
うすごろも
)
に、
虎頭
(
ことう
)
を打ち出した
金唐革
(
きんからかわ
)
の腹巻に、髪止めには銀のはちまきを締め、おぼろめく
縒絨
(
よりいと
)
の
剣帯
(
けんたい
)
へ利刀を横たえ、騎馬
戛々
(
かつかつ
)
、ふと耳をそばだてた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
国手、一個の
書架
(
しょだな
)
の
抽斗
(
ひきだし
)
、それには小説、伝奇の類が大分
帙
(
ちつ
)
を揃えて置かれた——中から、
金唐革
(
きんからかわ
)
の手箱を、二個出して、それを開けると無造作に、
莞爾々々
(
にこにこ
)
しながら卓子の上に並べられた。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今そのかわりに、
金唐革
(
きんからかわ
)
の鎧櫃が、ドッシリと飾られて——。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
金唐革
(
きんからかわ
)
の
文箱
(
ふばこ
)
に、
大切
(
だいじ
)
そうに秘めてあった一通の手紙。
平賀源内捕物帳:萩寺の女
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「親分の
前
(
めえ
)
だが、泥棒が
金唐革
(
きんからかわ
)
の飛切り上等の
懐中
(
ふところ
)
煙草入を忘れて行くという法はねえ。おまけに
煙管
(
キセル
)
は銀だ。あれは安くちゃ買えませんぜ」
銭形平次捕物控:050 碁敵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
とりわけ「
金唐革
(
きんからかわ
)
」と呼ぶものが有名で、
金泥
(
きんでい
)
や
色漆
(
いろうるし
)
を用い模様を高く浮き出させた
鞣革
(
なめしがわ
)
であります。草花や小鳥や獣などを美しくあしらいました。よく
文箱
(
ふばこ
)
や袋物などに見られます。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
手さぐりで膝の下敷きになった
猿手
(
さるで
)
の
金唐革
(
きんからかわ
)
の煙草入れを捜しあてたが、
煙管
(
きせる
)
のありかが分らないでしきりにその辺を
間
(
ま
)
さぐっているのを、気がついたお久が
座布団
(
ざぶとん
)
の下から見つけ出して
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
見ると、銀紋草色の
官袍
(
かんぽう
)
に
金唐革
(
きんからかわ
)
の
胸当
(
むねあて
)
をあて、
剣帯
(
けんたい
)
の剣を前に立ててそれへ両手を乗せ、ぎょろと、
椅子
(
いす
)
からこっちを睨まえている人物がある。ここの高官にしては思いのほか若そうな年齢だ。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
傍へよって落したものを見ると、それは
金唐革
(
きんからかわ
)
の香箱でした。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
真物
(
ほんもの
)
の
金唐革
(
きんからかわ
)
で張りつめた、見事な手箱ですが、たった一撃で打ち割られて、中の
木地
(
きじ
)
がメチャメチャに砕けております。
銭形平次捕物控:018 富籤政談
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次はゆうべ染吉の死骸から持って来た、
金唐革
(
きんからかわ
)
の煙草入を出して、中から二枚の小判をつまみ上げます。
銭形平次捕物控:141 二枚の小判
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
逆上気味
(
のぼせぎみ
)
のお勢をなだめて訊いてみると、泥棒は
暁方
(
あけがた
)
入ったものらしく、お勝手口をコジ開けて、お勢の枕元から、
金唐革
(
きんからかわ
)
の小さい手箱を持出し、路地で打ち割って
銭形平次捕物控:018 富籤政談
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次は染吉の死骸から抜いた
金唐革
(
きんからかわ
)
の恐ろしく金のかかったらしい煙草入を月の光にすかしました。
銭形平次捕物控:141 二枚の小判
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「なんだ懐中煙草入じゃないか。——
金唐革
(
きんからかわ
)
の
贅沢
(
ぜいたく
)
なものだな。
煙管
(
きせる
)
は銀の
延
(
のべ
)
か、おやおや滅茶滅茶につぶされている。これじゃ煙も通るまいよ。——誰のだい、こいつは?」
銭形平次捕物控:127 弥惣の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
金
常用漢字
小1
部首:⾦
8画
唐
常用漢字
中学
部首:⼝
10画
革
常用漢字
小6
部首:⾰
9画
“金唐”で始まる語句
金唐皮
金唐声
金唐紙