金力きんりょく)” の例文
科学にすがらなければ、人類は一日たりとも安全を保証し得ない時代となった。従前じゅうぜんの世界では、金力きんりょくが物を云った。今日は、金力よりも科学力である。
『地球盗難』の作者の言葉 (新字新仮名) / 海野十三(著)
娘と申せど主君のお胤なれば、何とぞ華族へ縁付けたく、それについても金力きんりょくなければ事かなわずと存ぜしゆえ、是まで種々しゅ/″\の商法をいとなみしも、慣れぬ事とてな仕損じ
ってこの手紙により私は金力きんりょくを以って女性の人格的尊厳を無視する貴方に永久の訣別けつべつを告げます。私は私の個性の自由と尊貴をまもりかつつちかうために貴方のもとを離れます。
柳原燁子(白蓮) (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
金力きんりょく品性ひんせいう題目のもとに、両者の必ずしも一致せざる理由を説明して、あんに会社の役員らの暴慢と、青年子弟の何らの定見もなくしていたずらに黄白万能主義こうはくばんのうしゅぎを信奉するのへいとをいましめた。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ある美貌びぼう声楽家せいがくかは、ゆび宝石ほうせきをかがやかせ、すましこんで、ステージにち、たとえ聴衆ちょうしゅう睥睨へいげいしながらうたっても、かげでは、権力けんりょくのあるものや、金力きんりょくあるもののめかけであったり、おとこどもには
風はささやく (新字新仮名) / 小川未明(著)
と浩二の金力きんりょくいささか疑問をいだいた。
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)