酒呑童子しゅてんどうじ)” の例文
山伏やまぶし姿すがたにやつしてはおいでになりますが、あなたがたはきっと酒呑童子しゅてんどうじ退治たいじするために、京都きょうとからおくだりになった方々かたがたでしょう。
大江山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
女ばかりの世帯しょたいで、あんな大江山の酒呑童子しゅてんどうじの子分見たような西洋人につけ廻されてはとてもかなわないじゃありませんか。
呪の金剛石 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
胆吹の弥三郎よりも、もっと昔、この洞窟ほらあなの中に山賊がんでいたのです、大江山を追われた酒呑童子しゅてんどうじの一族が、ここを巣にしていたのです。
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
老ノ坂は、昔の大江のせきあとである。酒呑童子しゅてんどうじの首塚がある。またよくよくこの地は天下反覆はんぷくの人物に縁がある。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
酒呑童子しゅてんどうじに連れて来られて洗濯などをさせられてゐるそんなかたちではたらいてゐる。どうも私の食事の支度をしてゐるらしい。それならさっきもことわったのだ。
家長制度 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
私は忽ちにして酒呑童子しゅてんどうじの如き面構えになった。そのふりで私は出かけていった。彼女は噴き出した。
朴歯の下駄 (新字新仮名) / 小山清(著)
山つづきの裏手は酒呑童子しゅてんどうじ山寨さんさい、岩窟中に一党十余名、官女風の女が舞っていて酒宴の体、表門には鬼の番人数名控えいる細密の彫刻、全く無類の作で、これは今美術学校に蔵されているはず。
明治世相百話 (新字新仮名) / 山本笑月(著)
頼光らいこうはさっそくつなにいいつけて、さっき神様かみさまからいただいた「かみ方便ほうべんおに毒酒どくざけ」をして、酒呑童子しゅてんどうじ大杯おおさかずきになみなみとつぎました。
大江山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
けだし、スッテンドウジというのは、大江山の酒呑童子しゅてんどうじのことで、それはとうの昔に、みなもと頼光らいこうと、その郎党によって退治されているはずのものです。
大菩薩峠:28 Oceanの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
酒呑童子しゅてんどうじもかくやの形相ぎょうそうで、大きなくちびるへやい歯をかませた呂宋兵衛は、いきなり民部の利腕ききうでをひとふりふって、やッと一せいだんの上から大地へ投げつけた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのうちにだんだんおさけのききめがあらわれてきて、酒呑童子しゅてんどうじはじめおにどもは、みんなごろごろたおれて、正体しょうたいがなくなってしまいました。
大江山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
摂州多田院の宝物に童子切どうじぎりというのがあるそうじゃ、これは源頼光みなもとのらいこうが大江山で酒呑童子しゅてんどうじを斬った名刀、その刀がすなわち伯耆の安綱作ということだが、拙者まだ拝見を致さぬ。
昔大江山の奥に酒呑童子しゅてんどうじが住んでいた、それを頼光らいこうが退治した。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)