こほり)” の例文
「東山道、みちのくの末、信濃の国、十郡のその内に、つくまのこほり、新しのさとといふ所に、不思議の男一人はんべり、その名を物臭太郎ひぢかずと申すなり……」
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
川辺かはべなどはたらく者にはかみにもシガのつく事あり、此シガ我が塩沢しほざはにはまれなり。おなじこほりうち小出嶋こいでしまあたりには多し、大河に近きゆゑ水気すゐきの霜となるゆゑにやあらん。
こほり奉行へとゞけければ早速さつそく檢使けんしの役人も來りあらため見しに間違もなき動靜やうす成ば名主始め村中むらぢう口書くちがき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
日本郵船会社にこほり寛四郎といふ老船長があつた。今は船から出て神戸の町外れとかに住んでゐるさうだが、日本人で一万トン以上の船に乗つたのは、この郡氏が最初だといふ事だ。
とほつあふみ浜名のこほり日はぬくし坊瀬越え来てここは白須賀
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
京のしゆに初音まゐろと家ごとにうぐひす飼ひぬ愛宕をたぎこほり
舞姫 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
故郷丹波の国なにがしのこほりにしりぞきたまふとて
池のほとりに柿の木あり (新字旧仮名) / 三好達治(著)
川辺かはべなどはたらく者にはかみにもシガのつく事あり、此シガ我が塩沢しほざはにはまれなり。おなじこほりうち小出嶋こいでしまあたりには多し、大河に近きゆゑ水気すゐきの霜となるゆゑにやあらん。
密雲のま中衝きゆく我が下に嘉穂のこほりはありと言ふかや
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
故郷丹波の國なにがしのこほりにしりぞき給ふとて
故郷の花 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)