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逸楽
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いつらく
ふりがな文庫
“
逸楽
(
いつらく
)” の例文
平安朝の長い貴族政治の下に、源氏物語的な特異な
逸楽
(
いつらく
)
を幾世紀となくつづけ、平安の都と、
殿上人
(
てんじょうびと
)
には謳歌されて来た地上。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
之を明治の社会に応用致し候わば
所謂
(
いわば
)
禍
(
わざわい
)
を
未萌
(
みほう
)
に防ぐの
功徳
(
くどく
)
にも相成り平素
逸楽
(
いつらく
)
を
擅
(
ほしいまま
)
に致し
候
(
そろ
)
御恩返も相立ち
可申
(
もうすべく
)
と
存候
(
ぞんじそろ
)
……
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
無禄無扶持
(
むろくむふち
)
になった小殿様たちは、三百年の太平
逸楽
(
いつらく
)
に
奢
(
おご
)
って、
細身
(
ほそみ
)
の刀も重いといった連中である。
旧聞日本橋:08 木魚の顔
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
彼には決して理解することのできなかった
逸楽
(
いつらく
)
のあとの満足のために疲れきった肢体をなげだし、お綱は苦しげに笑いのしぶきを吐きだしていた。若者達の一団が追いついた。——
禅僧
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
室町の柳営は、
絢爛
(
けんらん
)
な
廃墟
(
はいきょ
)
に似ていた。足利十三代の間になし尽した将軍たちの
逸楽
(
いつらく
)
と
豪奢
(
ごうしゃ
)
と、独善的な
政
(
まつり
)
の跡を物語る夢の古池でしかなかった。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
その城は、今の幸福を
偸
(
ぬす
)
む
逸楽
(
いつらく
)
の寝床ではない、前進また前進の足場である。彼の抱負ははかり知れないほど大きい。彼の夢はたぶんに、詩人的な幻想をふくんではいる。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また悪くすると、その情熱が、刹那主義の
求欲
(
きゅうよく
)
へ走ったり、みずから
惑溺
(
わくでき
)
を求めて、みずから
逸楽
(
いつらく
)
に亡ぼうと急いで行ったり、とかく若さと熱と夢のやりばに
限
(
き
)
りもなく
蝕
(
むしば
)
まれる。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ひいては、世をあげて、
贅美
(
ぜいび
)
と
逸楽
(
いつらく
)
の
坩堝
(
るつぼ
)
と化し、物はあがり貨幣価値は低くなった。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かえって大志を抱く士は少なく、無事を守って
逸楽
(
いつらく
)
の生を
偸
(
ぬす
)
もうとする者のみが多い。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あつめ、
逸楽
(
いつらく
)
と権勢だけに生きようとする人間ばかりを保護する制度ができてしまう
人間山水図巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
余りに
逸楽
(
いつらく
)
すぎる末期的な生活と制度に
狎
(
な
)
れていた民衆と——武骨一点ばりで、民心の作用も、文化の本質も、よく
咀嚼
(
そしゃく
)
しない我武者の
吏
(
り
)
とのあいだに、のべつ喰いちがいが起った。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
前将軍
家重
(
いえしげ
)
の
遊惰
(
ゆうだ
)
なこと。今の十代
家治
(
いえはる
)
の悠々
逸楽
(
いつらく
)
。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(太平を楽しめ)と、
逸楽
(
いつらく
)
を許し
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
逸
常用漢字
中学
部首:⾡
11画
楽
常用漢字
小2
部首:⽊
13画
“逸”で始まる語句
逸
逸早
逸物
逸見
逸話
逸品
逸足
逸散
逸事
逸人