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とほりかゝ
さて
銀側の
懷中時計は、
散策の
際も
身を
放さず、
件の
帶に
卷着けてあるのだから、
時は
自分にも
明かであらう、
前に
郵便局の
前を
通つたのが
六時三十分で、
歸り
途に
通懸つたのが
地方でも
其界隈は、
封建の
頃極めて
風の
惡い
士町で、
妙齡の
婦人の
此處へ
連込まれたもの、また
通懸つたもの、
況して
腰元妾奉公になど
行つたものの
生きて
歸つた
例はない、とあとで
聞いた。
其の
前を、
一列びに、ふら/\と
通懸つて