トップ
>
近眼
>
ちかめ
ふりがな文庫
“
近眼
(
ちかめ
)” の例文
近眼
(
ちかめ
)
の夫人は、勝ち誇つたやうに、居合はす夫人達の顔を見比べた、皆は急に蝋燭をともしたやうに明るい晴れやかな表情をした。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
私が大きな楡の樹蔭の三階で、段々
近眼
(
ちかめ
)
に成りながら、緩々と物を書き溜めて居るうちに、自然は確実な流転を続けて居ります。
C先生への手紙
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
近眼
(
ちかめ
)
の人には、たとへ眼鏡の代りに警察部長の乗る馬車の輪を鼻に掛けたところで、それがいつたい何者なのか見分けることは出来なかつたらう。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:02 降誕祭の前夜
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
近眼
(
ちかめ
)
のせいか眼鏡をかけて、絶えず驚いている。年は五十くらいだから、ずいぶん久しい間世の中を見て暮したはずだが、やっぱりまだ驚いている。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
けばが破れて、じとじとでしょう、弱ったわね、課長さん。……洋服のもっ
立尻
(
たてじり
)
を浮かして、両手を細工盤について、ぬッと左右の
鯰髯
(
なまずひげ
)
。
対手
(
あいて
)
が
近眼
(
ちかめ
)
だから似合ったわ。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
かくかの神の
象
(
かたち
)
、わが
近眼
(
ちかめ
)
をいやさんとて、われにこゝちよき藥を與へき 一三九—一四一
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
近眼
(
ちかめ
)
の文学士は、僕の手帳を、近々と目によせて、一目見たかと思うと、実に不思議なことには、黒川先生と同じ様に、何かギョッとした様子で、急いでそれを閉じてしまった。
悪霊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ここらでも
名代
(
なだい
)
の貧乏寺さ。いくら
近眼
(
ちかめ
)
の泥坊だって、あの寺へ物取りにはいるような間抜けはあるめえ。万一物取りにはいったにしても、坊主も虚無僧もみんな
屈竟
(
くっきょう
)
の男揃いだ。
半七捕物帳:46 十五夜御用心
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
昼間、仕事が出来ると、
近眼
(
ちかめ
)
にも大変いいのだけれども、昼間はひとがみんな起きているから、つい何もしないで遊んでしまう。忙がしくって困っても、友達が来ると遊んでしまう。
生活
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
「親は
何故
(
なにゆえ
)
に吾々を生みたるや」ナンテいう余計な事を、一生懸命に考え詰めて、何でもカンでも理窟に合わせて
終
(
しま
)
わないと鳥目だの、
近眼
(
ちかめ
)
だの、神経衰弱になる位、熱心な奴ならイヨイヨ上等だ。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
目の先ばかり見える
近眼
(
ちかめ
)
どもを相手にするな。そこでその死なぬはずのおれが死んだら、お許しのなかったおれの子じゃというて、おぬしたちを
侮
(
あなど
)
るものもあろう。おれの子に生まれたのは運じゃ。
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
八兵衛
近眼
(
ちかめ
)
小さな鶯
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
近眼
(
ちかめ
)
にて
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
新渡戸博士が自分の
近眼
(
ちかめ
)
と性慾の自己満足を結びつけて、深く後悔して
居
(
ゐ
)
るのは
善
(
よ
)
い事だが、世の中には
近眼者
(
ちかめ
)
といつても
沢山
(
たくさん
)
居
(
ゐ
)
る事だし
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
その
近眼者
(
ちかめ
)
が皆が皆まで博士のやうな「良心」を持合せてゐまいから、
達
(
たつ
)
て
近眼
(
ちかめ
)
を恥ぢよと言つた所でさう/\恥ぢもすまい。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
といふので、
近眼
(
ちかめ
)
の
書肆
(
ほんや
)
は慌てて膝頭から尻の
周囲
(
あたり
)
を撫でまはしてみたが、そこには鉄道の無賃乗車券らしいものは無かつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「
怪
(
け
)
しからん、一
片
(
きれ
)
位僕にも裾分けしたつてよかりさうなもんぢやないか」と
近眼
(
ちかめ
)
の銀行員が
側
(
そば
)
にゐる助教授の耳許で
呟
(
ぼや
)
いた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
矮身
(
せいひく
)
で、
怖
(
おそろ
)
しく
近眼
(
ちかめ
)
な、
加之
(
おまけ
)
に、背広の
背
(
せな
)
をいつも
黄金虫
(
こがねむし
)
のやうに
円
(
まろ
)
めてゐた
良人
(
をつと
)
に、窮屈な衣冠を着けさせるのは、何としても気の毒であつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
側
(
そば
)
にゐた
近眼
(
ちかめ
)
の
某
(
ある
)
夫人は、エエド氏の顔を眼鏡越しにじろりと見ながら言つた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
“近眼(
近視
)”の解説
近視(きんし)は、屈折異常のひとつで、眼球内に入ってきた平行光線が、調節力を働かせていない状態で、網膜上の正しい位置ではなく、もっと手前に焦点を結んでしまう状態。近眼(きんがん、ちかめ)ともいう。
遠方視の場合に、屈折機能が無限遠まで対応できないためはっきり見ることができない。
逆に近方視の場合は支障は少ない。近視は屈折の問題であり網膜や視神経の疾患ではないので一般的に矯正視力が低下するものではない。
(出典:Wikipedia)
近
常用漢字
小2
部首:⾡
7画
眼
常用漢字
小5
部首:⽬
11画
“近眼”で始まる語句
近眼鏡
近眼者