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車軸
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しやぢく
此時今迄は
晴朗であつた
大空は、
見る/\
内に
西の
方から
曇つて
來て、
熱帶地方で
有名な
驟雨が、
車軸を
流すやうに
降つて
來た。
母がまだ
存生の
時だつた。……
一夏、
日の
暮方から
凄じい
雷雨があつた……
電光絶間なく、
雨は
車軸を
流して、
荒金の
地の
車は、
轟きながら
奈落の
底に
沈むと
思ふ。
兎かうして
樹立に
出づれば、
町の
方は
車軸を
流す
雨なりき。