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踏伸
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ふみの
春の
夜ながら
冴えるまで、
影は
草を
透くのである。
其の
明が
目を
射すので、
笠を
取つて
引被つて、
足を
踏伸ばして、
眠りかける、とニヤゴと
鳴いた、
直きそれが、
耳許で、
小笹の
根。
春の
夜ながら
冴えるまで、
影は
草葉の
裏を
透く。
其の
光が
目へ
射すので
笠を
取つて
引被つて、
足を
踏伸ばして、
眠りかけるとニヤゴー、
直きそれが
耳許で、
小笹の
根で
鳴くのが
聞えた。
と考えが
道草の蝶に
誘われて、ふわふわと
玉の
緒が菜の花ぞいに伸びた
処を、風もないのに、
颯とばかり、
横合から雪の
腕、
緋の
襟で、つと
爪尖を反らして足を
踏伸ばした姿が、
真黒な馬に乗って