証文しょうもん)” の例文
旧字:證文
「今の通りで結構です。けれども後悔しているなんて書かないで下さいよ。う何本もあやまり証文しょうもんを取られちゃたまらない」
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「何か急場の事で御金の御入用おいりようがありましたら、証文しょうもんも何もなしで、御用立てをしますから。」と言ったこともある。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
なにしろ、そいつはおれにたからものをうんとくれるって約束やくそくをしたんだからな。そのかわり、おれは水車すいしゃのうしろに立ってるものをやるって証文しょうもんを書いたんだ。
これはその男にとっては相場そうばをやるようなもので、かれは十五年の期限のつきないまえにいつか植木屋が証文しょうもんどおりにいかなくなるときの来ることをのぞんでいた。
それなら屹度きっと君に教えてるけれども、マダ疑わしい。行かないと云う証文しょうもんを書け。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
そうしてかれむかし生活せいかつ健全けんぜんで、愉快ゆかいで、興味きょうみのあったこと、そのころ上流社会じょうりゅうしゃかいには知識ちしきがあったとか、またその社会しゃかいでは廉直れんちょく友誼ゆうぎ非常ひじょうおもんじていたとか、証文しょうもんなしでぜにしたとか
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
それは先年せんねん、ついウカウカと高利貸こうりがし証文しょうもん連帯れんたいの判を押したところ、その借主がポックリ死んでしまって、そのために気の毒にも明日が期限の一千円の調達ちょうたつおいの身を細らせているのだった。
疑問の金塊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「その通りで、もっとも平松屋の店は、先代の松前屋から、私が買受けたことになっております。念のために、番頭の為之助が証人で松前屋三郎兵衛の判をした証文しょうもんがあります。お目にかけましょうか」
銭形平次捕物控:282 密室 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
証文しょうもん期限きげんが切れたあくる日——この金はこの季節きせつの花の売り上げでしはらわれるはずであったから——全身まっ黒な服装ふくそうをした一人の紳士しんしがうちへ来て、いんをおした紙をわたした。
重ちゃんさえ安心してくれれば、わたしはどんな証文しょうもんでも書いて見せるわ。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
と、こたえて、その知らない男に証文しょうもんを書きました。